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この度、「信和税理士法人」が合併し、当事務所の「信和オフィス」として新たなスタートを切ることとなりました。
今回の合併をきっかけにより多くの地域の皆さまの力になれれば幸いです。
なにとぞ一層のご支援、ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
日本商工会議所が会員企業を対象に昨年7月から8月にかけて実施した「事業承継に関する実態アンケート調査」結果(有効回答数4062社)によると、60歳以上の現代表者において、後継者(候補含む)への株式移転に際して、利用・検討している税制(複数回答)は、「暦年贈与」が約3割(30.2%)と最も多く、平成30年に抜本拡充された「法人版事業承継税制特例措置」が14.2%となっています。
一方、「株式の買取・納税資金の確保のため後継者の給与を増やす」が11.8%、「株式の買取・納税資金の確保のため後継者が借入れする」が5.3%と、後継者の給与を増やしたり、後継者による借入の返済原資として株式の配当金を充てるなど、後継者の株式買取・納税資金確保のために、会社にキャッシュアウトが発生しているケースもうかがえます。そのほか、「相続時精算課税制度」が8.7%、「法人版事業承継税制一般措置」が4.2%でした。
事業承継税制特例措置について、利用するメリットがあると言われる自社株式評価額が1億円超の企業のうち、既に後継者を決めている企業では、約4割(35.5%)が本制度を利用(検討中を含む)しています。一方、約半数が「税制は知っているが、検討していない」(30.2%)、「税制を知らない」(18.1%)と回答しており、顧問税理士や支援機関等を通じた一層の制度周知や理解促進、活用に向けたアプローチが必要とみられます。
事業承継税制を利用するうえでの制度上の障壁(3つまで回答)については、「提出書類や手続きが煩雑」が21.9%で最多。また、「適用期限(令和9年12月末)までに事業承継を完了できない」(20.1%)や、「特例承継計画の提出期限(調査時点では令和6年3月末だが、令和6年度税制改正で令和8年3月末に延長する予定)に間に合わない」(17.5%)といった、自社の事業承継のタイミングとのズレを訴える声も多くあります。
事業承継税制を利用するうえでの自社の障壁(3つまで回答)は、「現代表者が現役で働けるため、今すぐの事業承継は考えられない」が25.0%で最も多く、回答者の平均年齢は60.5歳でした。また、「後継者候補はいるものの、人材育成が終わっていない」(24.6%)や「候補者はいるが、年齢がまだ若い」(17.2%)などが障壁となり、税制を活用できない企業も存在します。
「事業承継に関する実態アンケート調査」結果について。
令和6年度税制改正においては、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象法人から電子情報処理組織を使用する方法(e-TAX)により法人税の確定申告書等に記載すべきものとされる事項を提供しなければならない法人のうち、常時使用する従業員の数が300人を超えるものを除外した上、その適用期限が2年延長されます(適用期限の延長は、所得税についても同様)。
中小企業者等が、取得価額が30万円未満である「少額減価償却資産」を取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を全額損金の額に算入(即時償却)することができます。この特例の対象となる法人は中小企業者または農業協同組合等で、青色申告法人のうち、常時使用する従業員の数が500人以下の法人(「中小企業者等」)に限られます。
この特例の対象となる資産は、取得価額が30万円未満の減価償却資産ですが、適用を受ける事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円(事業年度が1年に満たない場合には300万円を12で除し、これにその事業年度の月数を掛けた金額)を超えるときは、その取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額が限度となります。
特例の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳と重複適用はできません。また、取得価額が10万円未満のものや一括償却資産の損金算入制度の適用を受けるものもこの特例の適用はありません。特例の適用を受けるためには、事業の用に供した事業年度に、少額減価償却資産の取得価額相当金額を損金経理するとともに、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付して申告する必要があります。
この特例は、取得価額が30万円未満である減価償却資産について適用があるので、器具および備品、機械・装置等の有形減価償却資産のほか、ソフトウェア、特許権、商標権等の無形減価償却資産も対象となり、また、所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産や、中古資産であっても対象となります。なお、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例は、約66万社の中小企業が活用しています(令和3年度)。
令和6年度税制改正においては、地方活性化の中心的役割を担う中小企業の経済活動の活性化や、「安いニッポン」の指摘に象徴される飲食料費に係るデフレマインドを払拭する観点から、交際費課税の見直しが行われます。具体的には、損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準について、会議費の実態を踏まえ、現行の1人当たり5000円以下から「1万円以下」に引き上げられます。
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。現行の規定では、交際費等の範囲から除外されるものとして、飲食等のために要する費用であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5000円以下である費用とされています。
この飲食等に要する費用は、専らその法人の役員や従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものは除かれますが、この金額基準が、令和6年度税制改正では1万円以下に引き上げられることになります。この背景には、物価上昇で飲食費が高騰しており、今の水準では不十分だとする意見が強まっており、飲食業界を側面支援する狙いもあります。この改正は令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用されます。
また、接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限が3年延長されます。現行の接待飲食費は、社内飲食費を除いた交際費に含まれる「飲食費」について、定められた項目を記載した帳簿上の飲食費(「接待飲食費」と仕訳したもの)であれば、その額の50%を損金に算入できこととされている特例があります。
厚生年金保険等の社会保険料や、消費税や固定資産税等の税金など「公租公課」の滞納が要因となった企業の倒産が増加しています。
日本年金機構によると、厚生年金保険を含む社会保険料を滞納している事業所は、令和4年度末時点で14万811事業所にのぼり、適用事業所全体に占める割合は5.2%を占めた。前年度に比べて滞納事業所数は減少したものの、依然として多くの企業が納付に苦慮する状態が続いています。
帝国データバンクがこのほど発表した公租公課滞納倒産動向によると、多額にのぼる公租公課の滞納や延滞金の未納により、自社の預金口座や土地など資産を差し押さえられ、経営に行き詰まった「公租公課滞納」倒産は、令和2年から5年の4年間で272件判明しました。このうち、令和5年1~11月における発生は過去最多の111件となり、全体の約4割を占めた。令和4年通年の74件から1.5倍に増加しました。
滞納した公租公課の区分では、特に企業業績が赤字であっても毎月支払う義務が生じる、厚生年金保険などの社会保険料の滞納が原因となったケースが目立ちます。公租公課のうち、特に企業にとって負担の重い社会保険料は最長3年にわたる納付猶予措置が設けられ、企業の資金繰りを支えてきましま。ただ、ポストコロナに向けて企業活動が正常化するなかで特例措置も順次縮小、社会保険料などの滞納者に対する差押さえ処分が本格化しています。
年金事務所による厚生年金保険料などの差押さえ件数は、令和4年度に2万7784事業所と、前年度の4倍に達し、処分が本格化。そのため、コロナ禍で猶予された社会保険料の納付ができず、法的整理直前に差押さえ処分を受けたパチンコホール大手「ガイア」や、業績不振のなかで消費税と社会保険料の支払いに窮した、韓国食材スーパーや免税店運営の「永山」など、猶予期間中に業績を立て直すことができなかった企業の倒産が相次いでいます。
令和2~5年間に発生した「公租公課滞納」倒産272件を業種別にみると、最多は「サービス業」の68件で、特にソフトウェア開発などの業種で多く発生。トラック運送などの「運輸・通信業」や「建設業」(47件)、「製造業」(42件)なども40件を上回る水準でした。態様別では、ほとんどのケースで破産など「清算型」の倒産で、累計272件のうち263件・96.7%を占め、再生型の倒産では民事再生法など9件にとどまりました。
インボイス制度が10月1日から開始されましたが、国税庁は11月24日、「インボイス制度開始後において特に留意しいただきたい事項」をパンフレットにまとめ公表しました。
例えば、「インボイスの適正性の確認」を留意事項の一つとして挙げて、売手から受領したインボイスについて、登録番号が適正なものか、取引の都度確認する必要があるのかとの疑問に対して、インボイスの適正性(番号が有効かどうか)については、事業者において確認する必要があるが、必ずしも取引の都度確認する必要はなく、取引先の規模・関係性・取引の継続性などを踏まえ、判断することになると説明。
また、インボイス公表サイトでの検索結果と、インボイスに記載された名称(屋号)が異なる場合はどうすればいいのかに対しては、公表サイトは、取引先から受領した請求書等に記載されている番号が、「登録番号」として取引時点において有効なものかを確認するために利用するものであり、その有効性が確認できれば、一義的には正しいインボイスとして取り扱って差し支えないとしています。
最後の留意事項は「クレジットカード利用の場合」。クレジットカード利用明細書は、一般的にインボイス記載事項を満たす書類には該当しないため、その保存のみで仕入税額控除はできません。ただし、例えば、少額特例の対象となる取引や、公共交通機関特例、出張旅費等特例など、インボイス保存不要で仕入税額控除が可能となる特例の対象となる取引は、カード利用明細書等に基づいて仕入税額控除に係る処理をしても問題ないとしています。
そのほか、ETCの利用に係るクレジットカード利用明細書は、ETC利用照会サービスからダウンロードした利用証明書(高速道路会社等ごとに任意の一取引)と合わせることで、簡易インボイスの記載事項を満たすものとなるので、その場合は、保存が必要になると説明しています。
国税庁では、政府全体のデジタル社会の実現に向けて、納税者利便性の向上と税務行政の効率化を図る観点から、e-TAX及びキャッシュレス納付の利用拡大を推進しています。同庁が発表した令和4年度におけるオンライン(e-TAX)手続きの利用状況等によると、所得税のオンライン利用率が全体の3分の2を占める水準になったほか、法人税申告のオンライン利用率は9割を達成するなど、オンライン利用率は着実に上昇しています。
主要7手続きのオンライン利用率は、「法人税申告」が91.1%(前年対比+3.2ポイント)と9割を超えたほか、「消費税申告(法人)」90.3%(同+1.6ポイント)、「所得税申告」65.7%(同+6.5ポイント)、「消費税申告(個人)」69.9%(同+1.5ポイント)、「相続税申告」29.5%(同+6.1ポイント)、「国税納付手続き」35.9%(同+3.7ポイント)、「納税証明書の交付請求」19.4%(同+6.5ポイント)と全て順調に上昇しています。
キャッシュレス納付以外では、「窓口での納付」が59.0%(前年度比▲3.7ポイント)と6割強を占め、内訳は、「金融機関窓口」が57.1%(同▲3.4ポイント)で、「税務署窓口」はわずか2.0%(同▲0.1ポイント)。そのほか「コンビニエンスストア」が5.1%(同▲0.1ポイント)で、内訳は、「バーコード」が4.0%(同+0.4ポイント)、「QRコード」が1.1%(同▲0.4ポイント)でした。
この結果、キャッシュレス納付割合の合計は35.9%となり、前年度より3.7ポイント増加したわけですが、その分、キャッシュレス納付以外の割合の合計が64.1%(3110万件)で、同▲3.7ポイント減少し、4年前の平成30年度(76.8%)からは▲12.7ポイントも減少しています。
まだまだ金融機関等での窓口納付が6割近くを占めるとはいえ、国税庁が推進するキャッシュレス納付の利用拡大は着実に進んでいると言えるでしょう。
インボイス税務調査「大口・悪質」に限定 国税庁長官(記事冒頭のみ)
日経新聞が国税庁長官にインボイス制度の税務調査などについてインタビューした記事です。
「国税庁の住沢整長官は10月に始まるインボイス(適格請求書)制度の税務調査について、従来と変わらず大口で悪質な事例に限定して実施する意向を示した。「軽微な記載のミスを確認するための調査はこれまでしてきていない。記載事項(の不備)をあげつらうような調査はしない」と語った。」
(仕入税額控除では)「受け取ったインボイスに記載事項の不備があった場合でも、納品書や契約書など他の書類で必要事項を確認できれば、仕入れにかかった消費税額の差し引きを認める考えを明らかにした。」
課税事業者としては気を緩めることなく、粛々と対応を進めましょう。
夏季休業につきましてご連絡申し上げます。
休業期間中、ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。
2023年8月11日(金) ~ 2023年8月15日(火)
※上記の期間事務所へのお電話、メールでのお問合せの対応も休業となります。
お問合せの回答につきましては、8月16日(水)以降、順次対応いたします。予めご了承ください。
東京商工会議所は、事業承継対策委員会における議論を踏まえ、「中小企業の円滑な事業承継の実現に向けた意見」をとりまとめ発表しました。意見によると、中小企業経営者の高齢化が進み、休廃業を選択した事業者の半数以上は直近の決算が黒字であり、このままでは中小企業の「価値ある事業」が失われていく恐れがあり、その黒字の割合は近年減少傾向にあり、事業承継対策は急務となっています。
そこで、資産承継対策の重要な支援施策であり、期限が迫っている事業承継税制の延長・恒久化などを要望しています。平成30年に抜本拡充された事業承税制(特例措置)は、自社株式を贈与・相続した際の税金が全額猶予され、一定の条件により猶予税額が免除となる税制だが、特例措置の適用期限は令和9年12月までとなっており、タイミングが合わず、利用したくてもできない事業者も存在します。
また、税制適用の前提となる「特例承継計画」の提出期限(申請期限)は令和6年3月までと期限が迫っている。意見では、重点要望として、事業承継税制の延長・恒久化(国・東京都)を新たに掲げています。具体的には、事業承継税制特例措置の申請期限の延長(令和6年3月末→9年12月末まで)や、対象株式制限の撤廃や雇用維持要件の弾力化、納税猶予割合100%への引上げなど、事業承継税制一般措置の拡充(令和10年1月から)です。
そのほか、要望項目として、1)事業承継税制の周知と正しい理解の促進、支援機関・税理士などの専門家・地域金融機関などを巻き込んだ対策の推進(国・東京都)、2)事業承継税制の制度改善(国)として、都道府県への年次報告書・税務署への継続届出書の一本化、提出書類の不備に対する宥恕規定の明確化等、3)事業承継税制適用後の支援・相談体制の充実(国・東京都)があります。
さらに、4)自社株式を含め資産全体を踏まえた相続対策(遺留分への対応等)の推進、税理士・弁護士などの専門家の活用、5)分散した株式の集約に向けた取組みの重要性の周知と支援強化(国・東京都)として、従業員承継での株式買取資金確保に向けた制度融資(日本政策金融公庫・信用保証制度等)の活用促進、などを要望項目として掲げています。
政府は、退職所得課税制度の見直しを行う。6月16日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太の方針)と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」に、成長分野への労働移動の円滑化のための施策の一環として盛り込まれた。
「退職所得課税については、勤続20年を境に、勤続1年当たりの控除額が40万円から70万円に増額されるところ、これが自らの選択による労働移動の円滑化を阻害しているとの指摘がある。制度変更に伴う影響に留意しつつ、本税制の見直しを行う」という記述だが、具体的な見直し内容、時期は記されていない。
退職所得の課税方式は、他の所得と区分する分離課税で、収入金額から退職所得控除額を控除後の金額を2分の1にした退職所得金額に、対応する税率を掛けて税額を算出する。例えば、退職一時金が2000万円で勤続年数30年の場合の退職所得控除額は、40万円×20年と70万円×10年の合計の1500万円となる。これを2000万円から控除し2分の1にした250万円が退職所得金額。
ただし、2分の1課税は、勤続年数5年以下の法人役員等には適用されず、また、勤続年数が5年以下であれば法人役員等以外であっても、退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分については、2分の1課税は適用されない。
現行の退職所得課税の仕組みは、勤続年数が長いほど厚く支給される企業の退職金支給形態を反映したものとなっているわけだが、政府税制調査会では、従来から、転職の増加など働き方の多様化を踏まえると、今後も長期勤続の場合を特に優遇していくことが適当かどうか検討すべきと指摘していた。その一方、退職金が、退職後の生活の原資に充てられ、重要な人生設計上の期待にも関わる問題であることから、見直す場合は経過措置も含めた適切な工夫が必要との考えも示していた。
財務省が公表した、令和5年3月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は、過去最大だった令和4年12月末から13兆4999億円増えて1270兆4990億円となりました。令和5年度の税収総額は約69兆円と4年連続で過去最高を更新する見通しだが、高齢化による社会費の膨張に加え、防衛費の増加などの歳出の拡大に追い付かず、約35.6兆円の新規国債発行で歳入不足を賄う。国の財政は厳しい状況が続きそうです。
3月末の国の借金は、12月末に比べ、国債は約20.9兆円増の約1136.4兆円で全体の約89%を占め、うち普通国債(建設国債、赤字国債等)は約21.3兆円増の約1027.1兆円と過去最大となりました。その内訳は、長期国債(10年以上)が約7.9兆円増の約778.3兆円、中期国債(2年から5年)が約0.9兆円増の約183.5兆円、短期国債(1年以下)も約12.5兆円増の約65.3兆円と軒並み増加して全体を押し上げました。
この「国の借金」約1270.5兆円は、令和5年度一般会計予算の歳出総額114兆3812億円の約11倍、同年度税収見込み額69兆4400億円の約18.3倍にあたる。年収500万円のサラリーマンが9150万円の借金を抱えている勘定です。また、わが国の今年4月1日時点での推計人口1億2447万人(総務省統計局の概算値)で割ると、国民1人当たりの借金は、昨年12月末時点の約1006万円から約1021万円に増加しています。
わが国の公債残高(普通国債残高)は年々増加の一途を辿っているが、令和5年3月末実績の公債残高約1027.1兆円が、令和4年度末(令和5年度当初予算ベース)では約1042.6兆円が見込まれる。令和5年度一般会計予算税収見込み額約69.4兆円の約15年分に相当し、国民1人当たり約838万円にのぼり、将来世代に大きな負担を残す。ちなみに、国及び地方の長期債務残高は令和5年度当初予算ベースで約1257兆円に膨らむ見込みです。
この度、信和税理士法人は鹿児島唯一の社会人女子サッカーチームであるミゴカリッサ鹿児島とパートナー契約を締結しました。
2023年度MIGOCARISA鹿児島選手・スタッフが着用するトレーニングウェア右腕に【信和税理士法人】のロゴが入ります。
本年10月からスタートするインボイス制度。しかしインボイス発行事業者の登録申請件数は依然として約200万件(令和4年11月末現在)にとどまっていることから、令和5年度税制改正(案)ではインボイス制度の円滑な移行に向けた負担軽減措置が手当てされている。こうした中、財務省は1月20日、「インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答」を公表した。
設問は全21項目。今回の改正で見直される、小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)、一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(少額特例)、少額な返還インボイスの交付義務免除、登録制度の見直しと手続きの柔軟化について、解説を交え回答している。
今回の見直しの中でも注目度の高い2割特例については7項目の設問を設定。対象者、期間、手続き、翌年以降の継続適用の可否のほか、インボイス制度の施行前に課税事業者となった場合の2割特例の適否なども盛り込まれている。例えば、免税事業者である個人事業者が昨年12月にインボイス登録申請と消費税課税事業者選択届出書を提出し、今年1月から課税事業者となったケース。この場合、インボイス制度の施行前の期間を含む令和5年分の申告については、2割特例の適用を受けられないこととなる。
ただし、その課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出することで、その課税期間から課税事業者選択届出書の効力を失効できるため、本例では、令和5年1月~9月分の納税義務が改めて免除され、インボイス発行事業者として登録を受けた令和5年10月1日~12月31日までの期間について納税義務が生じることとなり、その期間について2割特例を適用することが可能となる。
国税庁はこのほど、消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(インボイスQ&A)を改訂しホームページに公開した。
インボイスQ&Aは、インボイス制度の概要から手続き関係、インボイス発行事業者の義務等、インボイス制度下の仕入税額控除の要件、インボイス制度下での税額計算などが細かく分類整理された公開マニュアル。今回、全112項目のうち26項目が改訂され、このうち12項目が新たに追加されたものだ。
今回追加されたのは、「継続した取引における修正した適格請求書等の交付方法」(問31)、「値増金に係る適格請求書の交付」(問32)、「複数の取引をまとめた請求書の交付」(問57)、「物品切手等を値引販売した場合の適格請求書の記載事項」(問62)、「提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存方法」(問72)、「提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存形式」(問73)。
さらに、「仕入明細書に記載する課税仕入れに係る支払対価の額」(問79)、「出来高検収書の保存による仕入税額控除」(問87)、「短期前払費用」(問88)、「郵便切手類又は物品切手等により課税仕入れを行った場合における課税仕入れの時期」(問89)、「物品切手等により課税仕入れを行った場合における課税仕入れに係る支払対価の額」(問90)、「外貨建取引における仕入税額の計算方法」(問109)。
取引上の細かい手続きに関するものが多く、インボイス制度のスタートまで1年を切ったいま、事業者からの問い合わせもより具体的になっている。
国税庁はこのほど、今年12月1日に延期していたスマートフォンを使用した決済サービスによる納付手段(スマホアプリ納付)の開始日に変更がないことを明らかにした。
スマホアプリ納付は、国税の納付手段の多様化を図る観点から、令和3年度税制改正に創設され、令和4年1月4日から導入することとされていたが、スマホアプリ納付を実現するために必要なシステムなどを構築する事業者の調達手続きを行ったものの、新型コロナウイルス感染症がまん延に伴い、デジタル投資の加速に伴うICT人材不足等により入札者が現れず、その後の調整も事業者の決定しなかったため、導入を今年12月1日まで延期することを昨年9月に公表していた。
スマホアプリ納付の仕組みは、国税庁長官が指定した納付受託者(GMOペイメントゲートウェイ株式会社)が運営するスマートフォン決済専用のWebサイト(国税スマートフォン決済専用サイト)から、納税者が利用可能なPay払い(〇〇ペイ)を選択して納付する手続で決済手数料は発生しない。一度の納付での利用上限金額は30万円で全ての税目が納付可能だが、印紙を貼り付けて納付する場合等は利用できない税目がある。
なお、専用サイトのURL及び所定のアクセス方法については、12月1日に国税庁のホームページに掲載される予定だ。
来年10月から導入される消費税の「インボイス制度」だが、日本商工会議所の消費税インボイス制度に関する実態調査結果によると、制度適用に必要な適格請求書(インボイス)発行事業者の登録申請を行った事業者はわずか1割となっていることが明らかになりました。この実態調査は、同所の各地商工会議所会員企業に今年5月23日から6月23日までの期間にヒアリング調査(回答事業者数3771者)を実施して取りまとめたものです。
調査結果では、インボイス制度導入に向けての準備状況を尋ねると、特段の準備を行っていない事業者の割合が全体の42.2%と昨年同時期の調査(59.9%)から減少してはいるものの4割を超えていて、売上高1千万円以下の事業者では60.5%にものぼり、小規模な事業者ほど準備が進んでいない実態がわかりました。
また、国税庁への適格請求書発行事業者の登録申請状況では、「登録申請した」と回答した事業者は10.5%と1割のみ。特に売上高1千万円以下の事業者では僅か1.6%足らずで、申請する予定を含めても13%程度。その他では、「取引先から要請があれば検討する」が24.7%、「登録申請は行わない」が23.9%、「制度内容を理解しておらず、検討していない」が21.2%となっていて、全体の半数近くが自主的には申請は行わないようです。
今後の申請にも大きく左右する制度導入に向けた課題(複数回答)については、最も多いのが「制度が複雑でよく分からない」の47.2%で、以下、「発行する請求書等の様式変更」35.5%、「仕入先がインボイス発行事業者かの確認」26%、「システムの入替・改修コスト」17.9%、「消費税を納税しなければならなくなる」12.2%などが挙がっている中、「顧問税理士から指導がなく、何をすべきか分からない」との声も5.4%あります。
一方、インボイス制度導入後の課税事業者の対応予定をみると、約3割の課税事業者が「免税事業者との取引は(一切または一部)行わない」・「経過措置の間は取引を行う」と回答し、免税事業者との取引を見直す意向を示しています。そのうち、約65%の課税事業者が取引先の免税事業者に対し、「インボイス発行事業者になるよう要請する」としています。
東京商工リサーチが今月1日~9日にかけて実施した「インボイス制度」についての企業向けアンケート調査(回答数6441社)によると、インボイス制度の認知は高まっているものの、その準備や対応はまだ鈍い状況となっていることが明らかになりました。
消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)導入となる来年10月までまもなく1年。制度導入により消費税の申告・納税が必要となる課税事業者がインボイス発行事業者になると、売上先は仕入税額を控除できますが、免税事業者のままだとインボイスを発行できず売上先は仕入税額を控除できなくなるため、制度導入により取引状況が大きく見直されることが懸念されています。
調査結果をみると、インボイス制度について「知らない」との回答は7.5%足らずで、「よく知っている」19.5%、「大体知っている」49%に、「少し知っている」の23.4%を合わせた9割以上が「知っている」と回答しています。なお、「知らない」を規模別でみると、「大企業」が6.2%、資本金1億円未満(個人企業等を含む)の「中小企業」が7.7%とさほど違いがありません。
インボイス制度の導入後、免税事業者との取引に関しては、「これまで通り」が41.2%となっている一方、全体の1割近くとなる9.8%は「免税事業者とは取引しない」と回答し取引を中止するとしているほか、「取引価格を引き下げる」との回答も2.1%ありました。また、まだ46.7%が「検討中」としており、半数近くが取引方針を決めかねているようです。
なお、これまで通りの取引を行うと回答した企業を規模別でみると、「大企業」が38.3%、中小企業が41.7%で中小企業の報の割合が高くなっています。
厚生労働省が常用労働者10人以上の企業を対象に実施した「令和3年度雇用均等基本調査」の「企業調査」結果(有効回答数3538社)によると、正社員に占める女性の割合は27.4%と、令和2年度より0.2ポイント上昇と、ほぼ横ばいだったことが分かりました。これを職種別にみると、「総合職」20.7%、「限定総合職」34.0%、「一般職」33.9%、「その他」30.4%となっています。
また、令和3年春卒業の新規学卒者を採用した企業割合は21.3%と、令和2年度に比べ0.7ポイント上昇。このうち、「男女とも採用」した企業が43.1%と最も多くなりました。採用した企業について採用区分ごとにみると、総合職については「男女とも採用」した企業が45.2%と、前回調査に比べ、1.3ポイント低下。一方、「男性のみ採用」した企業割合は41.8%と、前回調査に比べ、1.8ポイント上昇しました。
女性管理職を有する企業割合をみると、「課長相当職以上の女性管理職(役員を含む)」を有する企業割合は53.2%(令和2年度52.8%)、「係長相当職以上の女性管理職」は61.1%(同61.1%)。また、「係長相当職以上の女性管理職」を有する企業割合を役職別にみると、「部長相当職」ありの企業は12.1%(同13.1%)、「課長相当職」は20.1%(同20.8%)、「係長相当職」は21.0%(同22.6%)となっています。
規模別にみると、おおむね規模が大きくなるほど、各管理職の女性を有する企業割合が高くなる傾向にあり、「5000人以上」規模では、「部長相当職の女性管理職」を有する企業が78.7%、「課長相当職の女性管理職」を有する企業が86.0%、「1000~4999」人規模では、「部長相当職の女性管理職」を有する企業が44.0%、「課長相当職の女性管理職」を有する企業が81.7%となっています。
課長相当職以上の管理職に占める女性の割合(「女性管理職割合」)は12.3%で、前回調査に比べ0.1ポイント低下、係長相当職以上の女性管理職割合は14.5%で、同0.1ポイント低下。それぞれの役職に占める女性の割合は、「役員」では21.4%(令和2年度20.3%)、「部長相当職」では7.8%(同8.4%)、「課長相当職」では10.7%(同10.8%)、「係長相当職」では18.8%(同18.7%)となっています。
経済社会のデジタル化を背景に電子帳簿等の電子データ保存を取り巻く環境が大きく変化する中、国税庁がこのほど「電子帳簿保存制度の特設サイト」をホームページ上に開設しました。電子帳簿保存法は、税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とする法律。同法に基づく各種制度を利用することで、経理のデジタル化を図ることができます。
令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の改正により、帳簿書類を電子保存する際の手続き等が抜本的に見直されました。事前承認制度の廃止、タイムスタンプ要件及び検索機能要件の緩和、適正事務処理要件の廃止、電子取引データ保存の義務化などが行われ、いずれも令和4年1月1日から施行されています。電子データ保存の義務化についてはその後猶予が設けられ、令和6年1月施行となっています。
特設サイトは、電子帳簿保存法上のデータ保存区分である電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引の3つの区分について、概要や改正事項について詳しく解説。このうち電子取引関係については、電子データ保存義務化の施行時期見直しに配慮し、令和5年12月31日までに行う電子取引については、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば差し支えない旨(事前申請等は不要)を強調するとともに、令和6年1月からは保存要件に従った電子データの保存が必要となるとして、所得税法・法人税法上の保存義務者に向けて、そのために必要な準備を呼びかけています。
政府は、NISA(少額投資非課税制度)を抜本的に拡充する。7日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に記載されました。
我が国の個人金融資産2千兆円のうち、その半分以上が預金・現金で保有されていることから、全世代的に個人金融資産の「貯蓄から投資」へのシフトを大胆・抜本的に進めるために、NISAの拡充等の政策を本年末に策定する「資産所得倍増プラン」に盛り込みます。これを受けて年末に公表される与党の令和5年度税制改正大綱に具体的な拡充内容が示されることになります。
個人投資家のための税制優遇制度であるNISAには、現在、3種類の制度があり、1)株式・投資信託等の配当・譲渡益等を対象に非課税保有期間5年間・年間非課税枠120万円の「一般NISA」が2014年1月に、2)未成年者を対象に非課税保有期間5年間・年間非課税枠80万円の「ジュニアNISA」が2016年4月に、3)特に少額からの長期・積立・分散投資を支援する制度として一定の投資信託を対象に非課税保有期間20年間・年間非課税枠40万円の「つみたてNISA」が2018年1月に、それぞれスタートし、以後たびたび制度が見直されてきました。
NISAが大きく見直されたのが令和2年度税制改正で、2024年(令和6年)からはNISAを「つみたてNISA」と一般NISAを2階建てにし非課税枠を計122万円にした「新NISA」との年単位選択制にするとともに、利用実績が乏しかった「ジュニアNISA」を2023年末で終了することにしました。
マイナンバーカードの取得者に対して、サービスや商品の購入などに利用できるポイントを、1人当たり最大2万円相当付与する「マイナポイント」の第2弾が6月30日からスタートします。マイナンバーカードの普及促進や消費喚起等が目的で、昨年11月19日に閣議決定した経済対策に実施が盛り込まれていました。
マイナポイント第1弾では、マイナンバーカードを使って予約・申込を行い、選んだキャッシュレス決済サービス(〇〇Payや電子マネー、クレジットカードなど)でチャージや買い物をすると、そのサービスで利用金額の25%分(一人当たり5000円分が上限)のポイントがもらえました。
第2弾では、1)マイナンバーカード取得者のうち、マイナポイント第1弾の未申込者(マイナンバーカードをこれから取得する者も含む)に最大5000円相当のポイント、2)健康保険証としての利用申込を行った者(既に利用申込みを行った者を含む)に7500円相当のポイント、3)公金受取口座の登録(マイナンバーと口座の紐付けを金融機関に申請・登録する制度)を行った者(既に登録を行った者を含む)に7500円相当のポイントを付与すします。健康保険証利用登録と公金受取口座登録の申込開始は6月30日からですが、カードの取得についてはすでに本年1月から申し込みを開始しています。
ポイントの対象となるマイナンバーカードの申請期間は本年9月末まで。政府は、令和4年度末までにほぼ全国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目指しており、総務省では、申請促進のため、カード未取得者に対し、QRコード付きの交付申請書を7月頃から順次送付する予定です。
マイナポイントの課税関係については、国税庁がホームページ上で公表しており、『マイナンバーカードを取得し、IDを設定した個人がキャッシュレス決済サービスにおいて「前払い」(いわゆるチャージ)などを行った際に付与されるものですので、「通常の商取引における値引き」とは認められず、その経済的利益は一時所得として所得税の課税対象となります』としたうえで、ただし、『一時所得は、所得金額の計算上、特別控除額50万円を控除することとされており、他の一時所得とされる所得との合計額が年間50万円を超えない限り、確定申告をする必要はありません』と説明しています。
実勢価格と相続税路線価のかい離を利用した「タワマン節税」の是非を巡って納税者と国税当局が争った裁判で、最高裁は4月19日、国税当局の言い分を全面的に認める判決を下しました。税法上は合法であっても当局が「税逃れ」とみなせば否認できる、いわゆる「総則6項」の明確な適用基準は示されず、今後は当局がより幅広い事案で総則6項を利用する可能性も否定できません。
裁判で争われたのは、原告が相続で取得した高層マンションの相続税評価額の正当性です。故人は2棟のマンションを計14億円ほどで購入したが、高層階の実勢価格が反映されない相続税路線価では2棟の評価額は約3億円ほどでした。相続人が路線価に従い申告をしたところ、当局が「路線価による評価は適当ではない」として否認し、約3億円を追徴課税した事例です。こうした実勢価格と路線価のかい離を利用した節税策は「タワマン節税」と呼ばれ、多くの富裕層が相続税対策に活用してきましたが、近年では当局は積極的にこれらの税務処理を否認し、追徴課税を行っています。
このとき当局が否認の根拠として使うのが、相続税の財産評価のルールを定めた財産評価基本通達の総則の第6項、いわゆる「総則6項」です。同項では、通達によって評価することが「著しく不適当」と認定できるケースに限り、「国税庁長官の指示を受けて評価する」と規定しています。評価ルール全体における例外規定とも呼べる内容で、この項目を適用すれば最終的には国税側の〝言い値〟が適用されることになります。「総則6項は伝家の宝刀」と言われるゆえんです。
19日の判決で長嶺安政裁判長は、「路線価などによる画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合は(例外規定を用いる)合理的な理由がある」との判断を示しました。その上で、今回の事例では相続税の負担軽減を意図して不動産の購入や資金の借り入れが行われ、実際に相続税額がゼロになったことなどを指摘しました。「他の納税者との間に看過しがたい不均衡が生じ、租税負担の公平に反する」として、例外規定の適用を認めました。二審判決を覆す際に開かれることの多い弁論が3月に開かれたため、納税者の逆転勝訴の可能性もささやかれていましたが、ふたを開けてみれば当局の言い分を全面的に認めた二審判決をそのまま支持したかたちです。
判決を受け、原告代理人の増田英敏弁護士らは同日、司法記者クラブで記者会見し、「最高裁が(総則6項適用の)基準を明示してくれることを期待したが、今回の判決は基準を定義したとは言えない。判決が確定したことで納税者が納税額を予見できないという問題が解決されないだけでなく、国税による恣意的な課税にブレーキがかからなくなる」と語りました。